クリエイターが単価を2倍にするまでの具体的なプロセス

仕事と金の実務

「単価を上げたい」 「でも、どうやって上げればいいのかわからない」 「値上げしたら、仕事がなくなるのでは?」

クリエイターなら、誰もが一度は考えることやな。

単価を上げたい。 だが、具体的にどうすればいいのか。 何を変えればいいのか。

この記事では、私が実際に単価を上げていったプロセスを、すべて書く。

  • 1万円から始めて、10万円まで上げた
  • 何を変えて、何を変えなかったか
  • 各段階で起きたこと、失敗したこと

これを、時系列で整理していく。

特別なスキルは必要ない。 やったことは、設計を変えただけである。

  1. スタート地点:単価1万円
    1. 独立1年目の状態
    2. 何が起きたか
  2. 第1段階:1万円→3万円(1年目後半)
    1. 変えたこと1:プロセスを見せる
    2. 変えたこと2:修正回数を決めた
    3. 変えたこと3:範囲を明確にした
    4. 結果
    5. なぜうまくいったのか
  3. 第2段階:3万円→5万円(2年目)
    1. 変えたこと1:受けない案件の基準を作った
    2. 変えたこと2:新規案件で5万円を試した
    3. 変えたこと3:ブログを書き始めた
    4. 結果
  4. 第3段階:5万円→8万円(3年目)
    1. 変えたこと1:受けない基準をさらに上げた
    2. 変えたこと2:ブランディングを含めた提案
    3. 変えたこと3:実績を見せる形を変えた
    4. 結果
  5. 第4段階:8万円→10万円(4年目)
    1. 変えたこと1:選ばれる側になった
    2. 変えたこと2:継続案件の見直し
    3. 変えたこと3:10万円の見積を出した
    4. 結果
  6. 単価を上げる過程で失敗したこと
    1. 失敗1:いきなり倍にした
    2. 失敗2:価値を増やさずに値上げした
    3. 失敗3:既存クライアントに値上げを伝えた
  7. 単価を上げるために必要だったもの
    1. 必要だったもの1:見積の設計
    2. 必要だったもの2:受けない基準
    3. 必要だったもの3:ブログ
    4. 必要だったもの4:価値の増やし方
  8. 単価を2倍にするまでの期間
    1. なぜ時間がかかったのか
  9. 単価を上げるタイミング
    1. タイミング1:スケジュールが埋まってきたとき
    2. タイミング2:同じ仕事の繰り返しになったとき
    3. タイミング3:市場価格が上がったとき
  10. おわりに

スタート地点:単価1万円

まず、スタート地点を書いておく。

独立1年目の状態

案件:ロゴ制作 単価:1万円 月の売上:10〜15万円

見積はこうだった。

ロゴ制作:1万円
納期:1週間

これだけ。

範囲も、修正回数も、何も決めていなかった。

何が起きたか

当然、詰んだ。

  • 修正が10回を超える
  • 追加で「名刺デザインもお願い」と言われる
  • 時給換算すると500円

この状態では、続けられない。

だから、変えることにした。

第1段階:1万円→3万円(1年目後半)

最初にやったのは、見積の出し方を変えることだ。

変えたこと1:プロセスを見せる

見積をこう変えた。

【ロゴ制作】
・初回ヒアリング
・コンセプト提案
・ロゴ案3案
・修正3回まで
・納品形式:AI、PNG、JPG

料金:3万円
納期:発注から2週間

金額は3倍になったが、

何をやるかを明確にした

これだけである。

変えたこと2:修正回数を決めた

以前は「修正対応します」としか書いていなかった。

これを、3回までと明記した。

そして、

修正4回目以降:1回5,000円

と追加料金の条件も書いた。

変えたこと3:範囲を明確にした

「ロゴ制作」だけでなく、

  • 何案出すか(3案)
  • 納品形式は何か(AI、PNG、JPG)
  • ヒアリングは何回か(1回)

これを全部書いた。

結果

驚いたことに、3万円でも仕事は来た。

むしろ、

  • クライアントの反応が良くなった
  • 「わかりやすい」と言われた
  • 修正が3回以内で終わるようになった

値上げしたのに、楽になったのである。

なぜうまくいったのか

理由は単純だ。

プロセスを見せたから

1万円の時は、「ロゴ制作:1万円」だけ。 何をやるのか、わからない。

3万円の時は、プロセスを全部書いた。 何をやるのか、明確。

クライアントは、明確な方を選ぶのである。

第2段階:3万円→5万円(2年目)

3万円で安定してきた頃、次の壁が来た。

これ以上、時間を増やせない

収入を増やすには、単価を上げるしかない。

変えたこと1:受けない案件の基準を作った

2年目で決めたのは、これだ。

【受けない条件】
・予算3万円以下の案件
・修正回数が無制限の案件
・納期1週間以内の案件

この基準を作ってから、

  • 条件の悪い案件が入ってこなくなった
  • スケジュールに余白ができた
  • 精神的に楽になった

変えたこと2:新規案件で5万円を試した

既存クライアントの単価を上げるのは難しい。

だから、新規案件で5万円を試した

見積はこう変えた。

【ロゴ制作】
・初回ヒアリング(対面またはオンライン)
・市場調査・競合分析
・コンセプト提案(2〜3パターン)
・ロゴ案3案
・修正3回まで
・納品形式:AI、PNG、JPG、PDF
・使用ガイドライン作成

料金:5万円
納期:発注から3週間

3万円の時と比べて、

  • 市場調査を追加
  • コンセプト提案を充実
  • 使用ガイドラインを追加

価値を増やしたのである。

変えたこと3:ブログを書き始めた

2年目から、こことは別に、集客用のブログを書き始めた。

書いた内容:

  • ロゴ制作のプロセス
  • 良いロゴとは何か
  • 料金の考え方
  • 仕事の進め方

すると、問い合わせの質が変わった。

Before: 「ロゴ作ってください。いくらですか?」

After: 「ブログを読みました。◯◯のような考え方で作ってほしいです」

ブログを読んだ人は、

  • 考え方を理解している
  • 5万円という金額を受け入れている
  • 話が早い

というわけや。

結果

新規案件で5万円が通るようになった。

そして、

  • 5万円の案件が増えていく
  • 3万円の案件を断るようになる
  • 平均単価が上がる

この流れで、月の売上が30万円を超えた。

第3段階:5万円→8万円(3年目)

3年目に入ると、また壁が来た。

時間の限界

スケジュールが埋まっている。 これ以上、案件を増やせない。
収入を増やすには、さらに単価を上げるしかない。

変えたこと1:受けない基準をさらに上げた

【受けない条件】
・予算5万円以下の案件
・修正回数が無制限の案件
・納期2週間以内の案件
・条件が曖昧な案件

この基準を上げることで、

  • 低単価案件が入ってこない
  • 高単価案件だけが残る

という状態になった。

変えたこと2:ブランディングを含めた提案

8万円の見積は、こう変えた。

【ブランディング込みロゴ制作】
・ブランドヒアリング(2回)
・市場調査・ペルソナ分析
・ブランドコンセプト設計
・ロゴデザイン(3案)
・修正3回まで
・納品形式:AI、PNG、JPG、PDF
・ブランドガイドライン作成
・名刺デザイン(1案)

料金:8万円
納期:発注から1ヶ月

ロゴ制作だけでなく、

  • ブランディングを含めた
  • 名刺デザインもセット

こうすることで、価値を高めたのである。

変えたこと3:実績を見せる形を変えた

ポートフォリオの見せ方を変えた。

Before:

  • ロゴ画像を並べるだけ

After:

  • どういう課題があったか
  • どう考えて、どう解決したか
  • 結果、クライアントにどんな効果があったか

このストーリーを見せるようにした。

すると、

  • 「この人に頼めば、課題を解決してくれる」と思われる
  • 金額ではなく、価値で判断される
  • 8万円でも高いと思われない

という状態になったのである。

結果

8万円の案件が取れるようになった。

月の売上は、40〜50万円になった。

第4段階:8万円→10万円(4年目)

4年目で、ようやく10万円の壁を超えた。

変えたこと1:選ばれる側になった

4年目には、ブログが資産になっていた。

  • 検索で見つけてもらえる
  • 問い合わせが月に10件以上来る
  • 営業しなくても仕事がある

この状態になると、

選ばれる側になる

  • こちらから営業しない
  • 条件の良い仕事だけ受ける
  • 単価交渉をしなくても、適正価格で依頼が来る

変えたこと2:継続案件の見直し

4年目で、継続案件を見直した。

見直しポイント:

  • 単価は適正か
  • 条件は悪くなっていないか
  • この案件を続ける意味はあるか

そして、

  • 条件の悪い継続案件を切った
  • 良い案件だけを残した
  • 空いた時間で高単価案件を取った

これによって、平均単価が上がったのである。

変えたこと3:10万円の見積を出した

新規案件で、10万円の見積を出してみた。

【ブランド構築パッケージ】
・ブランド戦略策定(3回のミーティング)
・市場調査・競合分析
・ペルソナ設計
・ブランドコンセプト設計
・ロゴデザイン(3案)
・修正5回まで
・カラーパレット設計
・フォント選定
・ブランドガイドライン作成
・名刺デザイン
・SNSヘッダー画像

料金:10万円
納期:発注から1.5ヶ月

ロゴ制作だけでなく、

  • ブランド全体の設計
  • SNSまで含めたパッケージ

にしたのである。

結果

10万円でも、案件が取れた。

しかも、

  • 値下げ交渉がない
  • 「この金額で当然」という空気
  • むしろ「安い」と言われることもある

この状態になったのである。

単価を上げる過程で失敗したこと

ここまで順調に見えるかもしれないが、失敗もたくさんある。

失敗1:いきなり倍にした

2年目の時、3万円からいきなり6万円にしたことがある。

結果、

  • 全く仕事が来なくなった
  • 焦って3万円に戻した

学んだこと: 単価は、少しずつ上げる方がいい。 3万円→5万円→8万円→10万円

このように、段階的に上げていくべきやな。

失敗2:価値を増やさずに値上げした

3万円の内容のまま、5万円にしたことがある。

結果、

  • クライアントから「高い」と言われた
  • 納得感がない

学んだこと: 単価を上げる時は、必ず価値も増やす。

  • 市場調査を追加
  • ガイドラインを追加
  • 名刺デザインを追加

こうして、価値を増やしてから値上げすべきである。

失敗3:既存クライアントに値上げを伝えた

既存クライアントに「次回から5万円になります」と伝えたことがある。

結果、

  • 「高すぎる」と言われた
  • 関係が気まずくなった
  • 結局、値上げできなかった

学んだこと: 既存クライアントの値上げは難しい。

代わりに、

  • 新規案件で高単価を試す
  • 既存は据え置き、新規から変更
  • 徐々に高単価案件の比率を上げる

この方が、スムーズに単価が上がる。

単価を上げるために必要だったもの

振り返ると、単価を上げるために必要だったのは、特別なスキルではなかった。

必要だったもの1:見積の設計

  • プロセスを見せる
  • 範囲を明確にする
  • 修正回数を決める

この見積の設計だけで、1万円→3万円になった。

必要だったもの2:受けない基準

  • 予算◯円以下は受けない
  • 条件が曖昧な案件は受けない

この基準を作ることで、

  • 低単価案件が入ってこない
  • 高単価案件だけが残る
  • 自然に単価が上がる

というわけだ。

必要だったもの3:ブログ

ブログを書くことで、

  • 考え方が伝わる
  • 問い合わせの質が上がる
  • 営業しなくても仕事が来る

この状態が、単価を上げやすくした。

必要だったもの4:価値の増やし方

単価を上げる時は、必ず価値も増やす。

  • 市場調査を追加
  • ガイドラインを追加
  • パッケージ化する

こうすることで、クライアントが納得するのである。

単価を2倍にするまでの期間

私の場合、こうだった。

1年目:1万円→3万円(6ヶ月) 2年目:3万円→5万円(1年) 3年目:5万円→8万円(1年) 4年目:8万円→10万円(1年)

合計:約3年半

決して早くはない。

だが、確実に上がっていった。

なぜ時間がかかったのか

理由は、

  • 既存クライアントの単価は変えられない
  • 新規案件で試すしかない
  • 新規案件は、徐々にしか来ない

からだ。

だから、時間がかかる。

だが、焦る必要はない。

少しずつ、確実に上げていく

これが、一番安全で確実な方法なのである。

単価を上げるタイミング

「いつ単価を上げればいいのか」

これは、よく聞かれる質問だ。

タイミング1:スケジュールが埋まってきたとき

  • 月の稼働日が20日を超える
  • これ以上仕事を増やせない

このタイミングが、値上げ時である。

時間を増やせないなら、単価を上げるしかないからだ。

タイミング2:同じ仕事の繰り返しになったとき

  • 見積がスムーズに出せる
  • 対応がパターン化されている
  • 無駄な時間が減った

この状態になったら、単価を上げるタイミングである。

効率化できたなら、その分を単価に反映させるべきやな。

タイミング3:市場価格が上がったとき

  • 他のクリエイターの単価が上がっている
  • クライアントの予算が増えている

こういう変化に気づいたら、単価を上げるタイミングである。

市場が変わっているのに、自分の単価が変わらないのはおかしい。

おわりに

単価を2倍にするのは、特別なスキルの問題ではない。

設計の問題

である。

  • 見積の出し方を変える
  • 受けない基準を作る
  • ブログで考え方を見せる
  • 価値を増やしてから値上げする

これをやっていけば、単価は自然に上がっていく。

私の場合、

1万円→3万円→5万円→8万円→10万円

と、約3年半かけて上げていった。

焦る必要はない。 少しずつ、確実に上げていけばいい。

大事なのは、

  • 新規案件で試すこと
  • 価値を増やすこと
  • 受けない基準を上げること

この3つである。

単価を上げたいと思ったら、まずは見積の出し方から変えてみてほしい。
それだけで、景色は大きく変わるのである。

ブログでは構造を、
noteでは判断基準をまとめています。
実務でそのまま使うための整理なので、必要な人だけ、参考にしてください。
▶︎ noteはこちら

—— 銭ナッツ

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