一人でやるか、人を雇うか|クリエイターの分岐点

仕事と金の実務

「これ以上、一人では回らない」
「人を雇えば、もっと仕事ができるのでは」
「でも、人を雇うのは不安」

独立して3年、4年と経つと、必ずこの分岐点に立つ。

一人でやり続けるか。 人を雇うか。

この判断は、簡単ではない。
人を雇えば、楽になる部分もある。 だが、大変になる部分も確実にある。

この記事では、

  • 人を雇うべきタイミング
  • 雇うことで楽になること、大変になること
  • 雇う前に知っておくべきこと
  • それでもチームで働く意味

を、実務の視点で整理していく。

  1. 人を雇うべきタイミング
    1. タイミング1:時間の限界が来たとき
    2. タイミング2:同じ作業の繰り返しが増えたとき
    3. タイミング3:収入に余裕ができたとき
    4. タイミング4:一人でやることに限界を感じたとき
  2. 人を雇うことで楽になること
    1. 楽になること1:時間が生まれる
    2. 楽になること2:単純作業から解放される
    3. 楽になること3:精神的に楽になる
    4. 楽になること4:売上の上限が上がる
  3. 人を雇うことで大変になること
    1. 大変なこと1:育成が必要
    2. 大変なこと2:正しい育成が必要
    3. 大変なこと3:人件費がかかる
    4. 大変なこと4:働きやすい環境づくり
    5. 大変なこと5:コミュニケーションコスト
  4. スタッフの生産性について
    1. 現実的な数字
    2. この現実を受け入れる
    3. 長期的な視点で見る
  5. 雇うのは大変だが、やめさせるのはもっと難しい
    1. 簡単には解雇できない
    2. ミスマッチが起きたら
    3. だから慎重に雇う
  6. それでもチームで働く力は大きい
    1. 力1:一人ではできないことができる
    2. 力2:アイデアが広がる
    3. 力3:精神的な支えになる
    4. 力4:自分の時間が生まれる
    5. 力5:事業として継続できる
  7. 人を雇う前にやるべきこと
    1. やるべきこと1:業務のマニュアル化
    2. やるべきこと2:収支の計算
    3. やるべきこと3:教育する時間の確保
    4. やるべきこと4:働く環境の整備
  8. 人を雇わない選択肢もある
    1. 選択肢1:外注を使う
    2. 選択肢2:一人で続ける
    3. 選択肢3:パートナーを見つける
  9. おわりに

人を雇うべきタイミング

まず、人を雇うべきタイミングはいつか。

タイミング1:時間の限界が来たとき

一人でできる仕事量には、限界がある。

  • 月の稼働日:20日
  • 1日の作業時間:8時間
  • 月の作業時間:160時間

これ以上は、物理的に増やせない。

この限界が来たとき、

  • 仕事を断る
  • 単価を上げる
  • 人を雇う

この3つの選択肢しかないのである。

タイミング2:同じ作業の繰り返しが増えたとき

自分がやらなくてもいい作業が増えてきたとき。

例:

  • 画像の書き出し
  • ファイルの整理
  • 修正対応
  • 簡単なデザイン作業

こういう作業を、自分がやり続けるのは非効率だ。

誰かに任せられるなら、任せた方がいい。

タイミング3:収入に余裕ができたとき

人を雇うには、人件費がかかる。

最低ライン:

  • アルバイト:時給1,500円×週20時間=月12万円
  • 正社員:月給25万円〜

この人件費を払っても、経営が成り立つ状態。

これが、人を雇うための最低条件である。

タイミング4:一人でやることに限界を感じたとき

技術的な限界ではなく、精神的な限界。

  • 一人で全部やるのが辛い
  • 誰かと一緒に働きたい
  • チームで仕事をしたい

この感覚が出てきたら、人を雇うタイミングかもしれない。

人を雇うことで楽になること

人を雇うと、何が楽になるのか。

楽になること1:時間が生まれる

人を雇うことで、自分の時間が生まれる。

例:

  • 自分の作業時間:月160時間
  • スタッフの作業時間:月80時間
  • 合計:月240時間

これまでできなかった仕事ができるようになる。

楽になること2:単純作業から解放される

単純作業を任せられる。

  • 画像の書き出し
  • ファイルの整理
  • 簡単な修正対応

これらをスタッフに任せることで、

  • 自分は企画や提案に集中できる
  • クリエイティブな部分に時間を使える

という状態になる。

楽になること3:精神的に楽になる

一人ではなく、チームになる。

  • 相談できる相手がいる
  • 一緒に考えてくれる人がいる
  • 孤独ではない

この精神的な支えは、想像以上に大きいのである。

楽になること4:売上の上限が上がる

一人でできる仕事量には限界がある。

だが、人を雇えば、

  • より多くの案件を受けられる
  • より大きな案件に対応できる
  • 売上の上限が上がる

この可能性が広がるわけだ。

人を雇うことで大変になること

だが、人を雇うことは楽なことばかりではない。

大変なこと1:育成が必要

人を雇ったら、すぐに戦力になるわけではない。

育成にかかる時間:

  • 最初の1ヶ月:ほぼ教育
  • 2〜3ヶ月:半分は教育、半分は実務
  • 4〜6ヶ月:ようやく一人で作業できる

この期間、自分の時間は教育に取られる。

つまり、

雇った直後は、むしろ忙しくなる

のである。

大変なこと2:正しい育成が必要

ただ教えればいいわけではない。

必要なこと:

  • 作業手順のマニュアル化
  • フィードバックの仕方
  • モチベーションの管理
  • 成長を見守る忍耐力

これができないと、

  • スタッフが育たない
  • すぐに辞めてしまう
  • また最初から教育

という悪循環に入るのである。

大変なこと3:人件費がかかる

人を雇うと、固定費が発生する。

例:

  • アルバイト:月12万円
  • 社会保険・税金:月3万円
  • 合計:月15万円

この15万円は、

  • 仕事があってもなくても払う
  • 毎月確実に出ていく
  • 売上が下がっても払う

固定費なのである。

大変なこと4:働きやすい環境づくり

人を雇ったら、働きやすい環境を作る必要がある。

必要なこと:

  • 明確な指示
  • 適切なフィードバック
  • 成長の機会
  • 公平な評価
  • 相談しやすい雰囲気

これができないと、

  • スタッフが不満を持つ
  • モチベーションが下がる
  • すぐに辞めてしまう

というわけだ。

大変なこと5:コミュニケーションコスト

一人なら、考えて、すぐ実行できる。

だが、人を雇うと、

  • 説明する時間
  • 確認する時間
  • 調整する時間

このコミュニケーションコストが発生する。

場合によっては、

自分でやった方が早い

と思うこともあるのである。

スタッフの生産性について

ここで、重要なことを伝えておく。

スタッフは、代表の何分の1かの生産性しかない

現実的な数字

代表の作業時間を100とすると、

  • 入社1ヶ月目のスタッフ:10〜20
  • 入社3ヶ月目のスタッフ:30〜40
  • 入社6ヶ月目のスタッフ:50〜60
  • 入社1年目のスタッフ:60〜70

こういう数字になる。

つまり、

代表と同じ速さで仕事ができるようになるには、最低1年かかる

のである。

この現実を受け入れる

「なぜこんなに遅いのか」 「自分でやった方が早い」

そう思ってしまうことがある。

だが、これは当然なのである。

なぜなら、

  • 代表は何年も経験がある
  • 代表は自ら立ち上げた事だから熱い気持ちがある
  • スタッフは始めたばかり
  • 経験の差は、すぐには埋まらない

からだ。

この現実を受け入れないと、

  • イライラする
  • スタッフを責める
  • 関係が悪くなる

という結果になってしまうのである。

長期的な視点で見る

だが、長期的に見れば、必ず育つ。

1年後: 60〜70%の生産性 2年後: 80〜90%の生産性 3年後: 代表と同じか、それ以上

この長期的な視点を持つことが、育成には必要なのである。

雇うのは大変だが、やめさせるのはもっと難しい

人を雇う前に、これだけは知っておいてほしい。

雇うのは簡単だが、やめさせるのは難しい

簡単には解雇できない

日本の労働法では、従業員を簡単には解雇できない。

解雇できる条件:

  • 能力不足(だが証明が必要)
  • 業績悪化(だが整理解雇の4要件)
  • 重大な違反行為

これらの条件を満たさないと、解雇は違法になる可能性がある。

ミスマッチが起きたら

もし、

  • スキルが合わない
  • 価値観が合わない
  • 成長が見込めない

という状態になったら、どうするか。

選択肢:

  1. 育成を続ける(時間とコストがかかる)
  2. 配置を変える(小規模事業では難しい)
  3. 退職を促す(慎重な対応が必要)

どれも、簡単ではないのである。

だから慎重に雇う

だからこそ、人を雇う時は慎重になるべきだ。

見るべきポイント:

  • スキルは十分か
  • 価値観は合うか
  • 成長意欲はあるか
  • コミュニケーションは取れるか
  • 長く働く意思はあるか

この判断を間違えると、

  • 双方が不幸になる
  • 時間とコストが無駄になる
  • 精神的に消耗する

という結果になるのである。

それでもチームで働く力は大きい

ここまで、大変なことを書いてきた。

だが、それでも伝えたい。

チームで働く力は、想像以上に大きい

力1:一人ではできないことができる

一人では受けられなかった案件が、受けられるようになる。

  • 大規模なプロジェクト
  • 短納期の案件
  • 複数の案件を同時進行

この可能性が広がるのである。

力2:アイデアが広がる

一人で考えるより、二人で考える方が、アイデアは広がる。

  • 「こういう方法もあるんじゃないですか」
  • 「こっちの方が良いと思います」

こういう意見が、作品のクオリティを上げるのである。

力3:精神的な支えになる

一人で事業をやっていると、孤独を感じることがある。

だが、チームがあれば、

  • 相談できる
  • 一緒に喜べる
  • 一緒に乗り越えられる

この支えは、金額では測れない価値があるのである。

力4:自分の時間が生まれる

スタッフに任せられることが増えると、自分の時間が生まれる。

この時間を使って、

  • 新しいスキルを学ぶ
  • 新規開拓をする
  • 事業の戦略を考える

こういうことができるようになる。

つまり、

経営者としての仕事に集中できる

わけだ。

力5:事業として継続できる

一人だと、

  • 自分が倒れたら終わり
  • 自分がいないと回らない
  • 自分の限界が事業の限界

だが、チームがあれば、

  • 誰かが支えてくれる
  • 自分がいなくても回る
  • 事業として継続できる

この安定性が生まれるのである。

人を雇う前にやるべきこと

人を雇う前に、これだけはやっておくべきだ。

やるべきこと1:業務のマニュアル化

スタッフに任せる業務を、マニュアル化する。

マニュアルに書くこと:

  • 作業の手順
  • 使うツール
  • 注意点
  • 完成イメージ

このマニュアルがないと、

  • 毎回口頭で説明
  • 毎回同じ質問が来る
  • 教育に時間がかかる

というわけだ。

やるべきこと2:収支の計算

人を雇っても、経営が成り立つか計算する。

計算例:

【現状】
売上:月50万円
経費:月10万円
利益:月40万円

【人を雇った場合】
売上:月70万円(増加)
経費:月10万円
人件費:月15万円(新規)
利益:月45万円

この計算で、利益が増えるなら雇っていい。

だが、利益が減るなら、まだ早いのである。

やるべきこと3:教育する時間の確保

スタッフを雇ったら、最初の3ヶ月は教育に時間を取られる。

この時間を確保できるか。

確認すること:

  • 今のスケジュールに余白はあるか
  • 教育する時間は作れるか
  • 売上が一時的に下がっても大丈夫か

この準備ができていないと、

  • スタッフが育たない
  • 自分が疲弊する
  • 失敗する

という結果になるのである。

やるべきこと4:働く環境の整備

スタッフが働ける環境を整える。

必要なもの:

  • 作業スペース
  • パソコン・ツール
  • 連絡手段(Slack、Chatworkなど)
  • 業務管理システム

これがないと、スタッフは働けない。

人を雇わない選択肢もある

最後に、これも伝えておきたい。

人を雇わない選択肢もある

選択肢1:外注を使う

正社員やアルバイトではなく、外注を使う。

メリット:

  • 必要な時だけ頼める
  • 固定費がかからない
  • 育成の手間がない

デメリット:

  • コストが高い
  • 品質が安定しない
  • チームにはならない

この選択肢も、十分ありやな。

選択肢2:一人で続ける

一人で続けるという選択肢もある。

  • 単価を上げる
  • 仕事を絞る
  • 効率化する

この方法で、一人でも十分稼げる。

一人のメリット:

  • 自由
  • 固定費が少ない
  • 意思決定が早い

このメリットを捨てる必要はないのである。

選択肢3:パートナーを見つける

雇用ではなく、パートナーシップという形もある。

  • 対等な関係
  • 一緒に事業を作る
  • リスクも報酬も分け合う

この形なら、

  • 雇用のリスクがない
  • お互いに成長できる
  • 強い関係が築ける

という可能性があるわけだ。

おわりに

一人でやるか、人を雇うか。

この分岐点に立ったとき、簡単に決められる答えはない。

人を雇えば、

  • 時間が生まれる
  • 単純作業から解放される
  • 精神的に楽になる
  • 売上の上限が上がる

だが、同時に、

  • 育成が必要
  • 人件費がかかる
  • 働きやすい環境づくりが必要
  • スタッフは代表の何分の1かの生産性しかない
  • 雇うのは簡単だが、やめさせるのは難しい

この現実も受け入れる必要がある。

それでも、チームで働く力は大きい。

  • 一人ではできないことができる
  • アイデアが広がる
  • 精神的な支えになる
  • 事業として継続できる

この可能性は、一人では得られないものである。

人を雇うかどうかは、

  • 今の状況
  • 将来のビジョン
  • 自分の性格

これらを総合的に判断して決めるべきだ。

そして、もし人を雇うと決めたなら、

  • 慎重に採用する
  • 正しく育成する
  • 働きやすい環境を作る
  • 長期的な視点を持つ

この覚悟を持って、臨んでほしい。
一人でやるのも、チームでやるのも、どちらも正解である。
大事なのは、自分にとって何が最適かを、冷静に判断することなのである。

ブログでは構造を、
noteでは判断基準をまとめています。
実務でそのまま使うための整理なので、必要な人だけ、参考にしてください。
▶︎ noteはこちら

—— 銭ナッツ

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