「単価を上げたい」 「でも、どうやって上げればいいのかわからない」 「値上げしたら、仕事がなくなるのでは?」
クリエイターなら、誰もが一度は考えることやな。
単価を上げたい。 だが、具体的にどうすればいいのか。 何を変えればいいのか。
この記事では、私が実際に単価を上げていったプロセスを、すべて書く。
- 1万円から始めて、10万円まで上げた
- 何を変えて、何を変えなかったか
- 各段階で起きたこと、失敗したこと
これを、時系列で整理していく。
特別なスキルは必要ない。 やったことは、設計を変えただけである。
スタート地点:単価1万円
まず、スタート地点を書いておく。
独立1年目の状態
案件:ロゴ制作 単価:1万円 月の売上:10〜15万円
見積はこうだった。
ロゴ制作:1万円
納期:1週間
これだけ。
範囲も、修正回数も、何も決めていなかった。
何が起きたか
当然、詰んだ。
- 修正が10回を超える
- 追加で「名刺デザインもお願い」と言われる
- 時給換算すると500円
この状態では、続けられない。
だから、変えることにした。
第1段階:1万円→3万円(1年目後半)
最初にやったのは、見積の出し方を変えることだ。
変えたこと1:プロセスを見せる
見積をこう変えた。
【ロゴ制作】
・初回ヒアリング
・コンセプト提案
・ロゴ案3案
・修正3回まで
・納品形式:AI、PNG、JPG
料金:3万円
納期:発注から2週間
金額は3倍になったが、
何をやるかを明確にした
これだけである。
変えたこと2:修正回数を決めた
以前は「修正対応します」としか書いていなかった。
これを、3回までと明記した。
そして、
修正4回目以降:1回5,000円
と追加料金の条件も書いた。
変えたこと3:範囲を明確にした
「ロゴ制作」だけでなく、
- 何案出すか(3案)
- 納品形式は何か(AI、PNG、JPG)
- ヒアリングは何回か(1回)
これを全部書いた。
結果
驚いたことに、3万円でも仕事は来た。
むしろ、
- クライアントの反応が良くなった
- 「わかりやすい」と言われた
- 修正が3回以内で終わるようになった
値上げしたのに、楽になったのである。
なぜうまくいったのか
理由は単純だ。
プロセスを見せたから
1万円の時は、「ロゴ制作:1万円」だけ。 何をやるのか、わからない。
3万円の時は、プロセスを全部書いた。 何をやるのか、明確。
クライアントは、明確な方を選ぶのである。
第2段階:3万円→5万円(2年目)
3万円で安定してきた頃、次の壁が来た。
これ以上、時間を増やせない
収入を増やすには、単価を上げるしかない。
変えたこと1:受けない案件の基準を作った
2年目で決めたのは、これだ。
【受けない条件】
・予算3万円以下の案件
・修正回数が無制限の案件
・納期1週間以内の案件
この基準を作ってから、
- 条件の悪い案件が入ってこなくなった
- スケジュールに余白ができた
- 精神的に楽になった
変えたこと2:新規案件で5万円を試した
既存クライアントの単価を上げるのは難しい。
だから、新規案件で5万円を試した
見積はこう変えた。
【ロゴ制作】
・初回ヒアリング(対面またはオンライン)
・市場調査・競合分析
・コンセプト提案(2〜3パターン)
・ロゴ案3案
・修正3回まで
・納品形式:AI、PNG、JPG、PDF
・使用ガイドライン作成
料金:5万円
納期:発注から3週間
3万円の時と比べて、
- 市場調査を追加
- コンセプト提案を充実
- 使用ガイドラインを追加
価値を増やしたのである。
変えたこと3:ブログを書き始めた
2年目から、こことは別に、集客用のブログを書き始めた。
書いた内容:
- ロゴ制作のプロセス
- 良いロゴとは何か
- 料金の考え方
- 仕事の進め方
すると、問い合わせの質が変わった。
Before: 「ロゴ作ってください。いくらですか?」
After: 「ブログを読みました。◯◯のような考え方で作ってほしいです」
ブログを読んだ人は、
- 考え方を理解している
- 5万円という金額を受け入れている
- 話が早い
というわけや。
結果
新規案件で5万円が通るようになった。
そして、
- 5万円の案件が増えていく
- 3万円の案件を断るようになる
- 平均単価が上がる
この流れで、月の売上が30万円を超えた。
第3段階:5万円→8万円(3年目)
3年目に入ると、また壁が来た。
時間の限界
スケジュールが埋まっている。 これ以上、案件を増やせない。
収入を増やすには、さらに単価を上げるしかない。
変えたこと1:受けない基準をさらに上げた
【受けない条件】
・予算5万円以下の案件
・修正回数が無制限の案件
・納期2週間以内の案件
・条件が曖昧な案件
この基準を上げることで、
- 低単価案件が入ってこない
- 高単価案件だけが残る
という状態になった。
変えたこと2:ブランディングを含めた提案
8万円の見積は、こう変えた。
【ブランディング込みロゴ制作】
・ブランドヒアリング(2回)
・市場調査・ペルソナ分析
・ブランドコンセプト設計
・ロゴデザイン(3案)
・修正3回まで
・納品形式:AI、PNG、JPG、PDF
・ブランドガイドライン作成
・名刺デザイン(1案)
料金:8万円
納期:発注から1ヶ月
ロゴ制作だけでなく、
- ブランディングを含めた
- 名刺デザインもセット
こうすることで、価値を高めたのである。
変えたこと3:実績を見せる形を変えた
ポートフォリオの見せ方を変えた。
Before:
- ロゴ画像を並べるだけ
After:
- どういう課題があったか
- どう考えて、どう解決したか
- 結果、クライアントにどんな効果があったか
このストーリーを見せるようにした。
すると、
- 「この人に頼めば、課題を解決してくれる」と思われる
- 金額ではなく、価値で判断される
- 8万円でも高いと思われない
という状態になったのである。
結果
8万円の案件が取れるようになった。
月の売上は、40〜50万円になった。
第4段階:8万円→10万円(4年目)
4年目で、ようやく10万円の壁を超えた。
変えたこと1:選ばれる側になった
4年目には、ブログが資産になっていた。
- 検索で見つけてもらえる
- 問い合わせが月に10件以上来る
- 営業しなくても仕事がある
この状態になると、
選ばれる側になる
- こちらから営業しない
- 条件の良い仕事だけ受ける
- 単価交渉をしなくても、適正価格で依頼が来る
変えたこと2:継続案件の見直し
4年目で、継続案件を見直した。
見直しポイント:
- 単価は適正か
- 条件は悪くなっていないか
- この案件を続ける意味はあるか
そして、
- 条件の悪い継続案件を切った
- 良い案件だけを残した
- 空いた時間で高単価案件を取った
これによって、平均単価が上がったのである。
変えたこと3:10万円の見積を出した
新規案件で、10万円の見積を出してみた。
【ブランド構築パッケージ】
・ブランド戦略策定(3回のミーティング)
・市場調査・競合分析
・ペルソナ設計
・ブランドコンセプト設計
・ロゴデザイン(3案)
・修正5回まで
・カラーパレット設計
・フォント選定
・ブランドガイドライン作成
・名刺デザイン
・SNSヘッダー画像
料金:10万円
納期:発注から1.5ヶ月
ロゴ制作だけでなく、
- ブランド全体の設計
- SNSまで含めたパッケージ
にしたのである。
結果
10万円でも、案件が取れた。
しかも、
- 値下げ交渉がない
- 「この金額で当然」という空気
- むしろ「安い」と言われることもある
この状態になったのである。
単価を上げる過程で失敗したこと
ここまで順調に見えるかもしれないが、失敗もたくさんある。
失敗1:いきなり倍にした
2年目の時、3万円からいきなり6万円にしたことがある。
結果、
- 全く仕事が来なくなった
- 焦って3万円に戻した
学んだこと: 単価は、少しずつ上げる方がいい。 3万円→5万円→8万円→10万円
このように、段階的に上げていくべきやな。
失敗2:価値を増やさずに値上げした
3万円の内容のまま、5万円にしたことがある。
結果、
- クライアントから「高い」と言われた
- 納得感がない
学んだこと: 単価を上げる時は、必ず価値も増やす。
- 市場調査を追加
- ガイドラインを追加
- 名刺デザインを追加
こうして、価値を増やしてから値上げすべきである。
失敗3:既存クライアントに値上げを伝えた
既存クライアントに「次回から5万円になります」と伝えたことがある。
結果、
- 「高すぎる」と言われた
- 関係が気まずくなった
- 結局、値上げできなかった
学んだこと: 既存クライアントの値上げは難しい。
代わりに、
- 新規案件で高単価を試す
- 既存は据え置き、新規から変更
- 徐々に高単価案件の比率を上げる
この方が、スムーズに単価が上がる。
単価を上げるために必要だったもの
振り返ると、単価を上げるために必要だったのは、特別なスキルではなかった。
必要だったもの1:見積の設計
- プロセスを見せる
- 範囲を明確にする
- 修正回数を決める
この見積の設計だけで、1万円→3万円になった。
必要だったもの2:受けない基準
- 予算◯円以下は受けない
- 条件が曖昧な案件は受けない
この基準を作ることで、
- 低単価案件が入ってこない
- 高単価案件だけが残る
- 自然に単価が上がる
というわけだ。
必要だったもの3:ブログ
ブログを書くことで、
- 考え方が伝わる
- 問い合わせの質が上がる
- 営業しなくても仕事が来る
この状態が、単価を上げやすくした。
必要だったもの4:価値の増やし方
単価を上げる時は、必ず価値も増やす。
- 市場調査を追加
- ガイドラインを追加
- パッケージ化する
こうすることで、クライアントが納得するのである。
単価を2倍にするまでの期間
私の場合、こうだった。
1年目:1万円→3万円(6ヶ月) 2年目:3万円→5万円(1年) 3年目:5万円→8万円(1年) 4年目:8万円→10万円(1年)
合計:約3年半
決して早くはない。
だが、確実に上がっていった。
なぜ時間がかかったのか
理由は、
- 既存クライアントの単価は変えられない
- 新規案件で試すしかない
- 新規案件は、徐々にしか来ない
からだ。
だから、時間がかかる。
だが、焦る必要はない。
少しずつ、確実に上げていく
これが、一番安全で確実な方法なのである。
単価を上げるタイミング
「いつ単価を上げればいいのか」
これは、よく聞かれる質問だ。
タイミング1:スケジュールが埋まってきたとき
- 月の稼働日が20日を超える
- これ以上仕事を増やせない
このタイミングが、値上げ時である。
時間を増やせないなら、単価を上げるしかないからだ。
タイミング2:同じ仕事の繰り返しになったとき
- 見積がスムーズに出せる
- 対応がパターン化されている
- 無駄な時間が減った
この状態になったら、単価を上げるタイミングである。
効率化できたなら、その分を単価に反映させるべきやな。
タイミング3:市場価格が上がったとき
- 他のクリエイターの単価が上がっている
- クライアントの予算が増えている
こういう変化に気づいたら、単価を上げるタイミングである。
市場が変わっているのに、自分の単価が変わらないのはおかしい。
おわりに
単価を2倍にするのは、特別なスキルの問題ではない。
設計の問題
である。
- 見積の出し方を変える
- 受けない基準を作る
- ブログで考え方を見せる
- 価値を増やしてから値上げする
これをやっていけば、単価は自然に上がっていく。
私の場合、
1万円→3万円→5万円→8万円→10万円
と、約3年半かけて上げていった。
焦る必要はない。 少しずつ、確実に上げていけばいい。
大事なのは、
- 新規案件で試すこと
- 価値を増やすこと
- 受けない基準を上げること
この3つである。
単価を上げたいと思ったら、まずは見積の出し方から変えてみてほしい。
それだけで、景色は大きく変わるのである。
ブログでは構造を、
noteでは判断基準をまとめています。
実務でそのまま使うための整理なので、必要な人だけ、参考にしてください。
▶︎ noteはこちら
—— 銭ナッツ


